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首都圏都県別賃料相場

誘い水としての段階賃料

2010年12月09日

オフィス市場では依然として空室率が高く、都心のオフィス街では「街を歩けば空室にあたる」と言うくらいにテナント募集の張り紙が目立ちます。
前号でも触れましたが店舗も長期間空きっ放しの箱が増えて来ました。
毎月の募集変更物件を見ていると「おや、ここは2ヶ月前にも10%賃料ダウンしていたはずだけどまたダウンするのか」と言う店舗物件も数多く目に付きます。
最近感じるのは「回りの相場が少しずつ下がっているから、それに合わせて少しずつ下げる」事があまり得策では無いのではないか?という事です。
この不況下では出店する企業側も賃貸契約に関わる費用と店舗内装費用を合わせた初期投資費用をそう簡単には捻出する事が出来ません。
その上、開店と同時に発生する人件費や諸費用のランニングコストを吸収して毎月黒字売上に持っていく事は更に難しいのです。
実際には賃貸に関わる保証金は店舗と言えども以前ほど高額では無くなりました。
バブル期は賃料の50ヶ月分が当たり前、その後30ヶ月、20ヶ月と下がり現在では平均8〜12ヶ月程度でしょうか。
それならばお店が開店から軌道に乗るまでのランニングコストを下げてあげればもっとテナントも借り易いのでは?と思います。
出店企業は「いち早く黒字化した店舗」は中々手放しません。そうなれば大家さんは長期間安定して賃料収入が見込めるわけです。
そこで貸主側で少しでも早く「テナントの黒字化」に協力する事は長い眼で見れば決して損では無いと思います。
具体的には例えば「契約初年度は賃料半額」と言う設定をした上で、3年間は段階的に賃料UPを予め契約時に約定し、万が一短期間で退去した場合などは別途の「ペナルティ」を設けるなど。
他にも方法は色々とあります。
冒頭に触れたように「長期間空室、時々募集条件を下げる」事を繰り返すよりも、借り手側は何を必要としているのか?を考えてその為の条件設定を実施すれば、よりお互いに繁栄出来る機会も増えるのではないかと思います。

株式会社ビルズ 代表取締役 井上 良介