*店舗仲介特記*3月11日の震災の影響について(緊急レポート)
2011年04月04日
初めに、被災された方々並びにそのご家族の方々へ、謹んで哀悼の意を表します。また、関連する政策等による自粛・節電、それに伴う売上減少を余儀なくされた店舗運営のお客様へ、心からお見舞い申し上げます。
弊社の業務に関連して、今回の震災後の様々な「店舗用不動産」の状況に変化が見られましたので、その一部をご報告させていただきます。
(※情報元各社様の社名はすべて伏せさせていただきます。)
店舗用貸しビルオーナー様、店舗貸主様からのご意見やご質問、対応状況など(店舗仲介のヒアリングより)
A社様:「テナントから賃料減額の依頼が入るが、どのように対応すべきか?事例はないか?」
B社様:「こちらから全テナントの3月分の賃料を30%減額対応した。」
C社様:「一切減額には応じるつもりはない。解約も受け入れる。」
D社様:「4月以降の状況を見て、相談を開始します。」
各テナント様(飲食業中心・店舗仲介の取引先より)
A社様(飲食):「2月に契約したが、資材や工事要員の手配がつかないため解約します。」
B社様(飲食):「3月にOPENしたが、運営できないので撤退します。」
C社様(飲食):「他のテナントが賃料交渉するなら、ウチもしなければ。」
D社様(飲食):「4月以降の売上状況を見て判断します。」
E社様(飲食):「全店舗の賃料を半額にするよう交渉に入りました。」
F社様(飲食):「契約に向けて最終調整していた物件は、一旦全てキャンセルします。」
業界ニュース(店舗仲介の市場動向より)
業界のニュースによれば、都心のコンビニ・ドラッグストア業界では特需要素により売上が増進している企業様も見受けられます。
一方で、店舗仲介の視点からも、飲食系の企業様は節電による営業時間の短縮、またお客様の「自粛意識」の影響を受け、軒並み売上が減少傾向にあるようです。
また、女性向けのアパレル・美容業界の一部は早々に売上が回復しているものの、ユニクロをはじめとする紳士・ファミリー系物販店舗は売上を落としている模様です。
鳴り物入りで日本へ進出してきたばかりのアパレル「H&M」は、一時は関東の全店舗を閉鎖し、全従業員を関西または海外へ出国させたというニュースも記憶に新しいです。
銀座のブランド店も一時はすべて閉鎖していました。
さらに、高級クラブでは接待需要も途絶えたため、多くの店舗が一時閉店や売却に出されているとの情報も入っています。
また、店舗仲介のネットワークを通じて、外資系投資ファンドがジャパンリスクを嫌い、日本国内に所有するビルを一斉に売却開始したという情報も入ってきました。
このように、全体的にはネガティブなニュースが多く報じられていますが、一方で「過剰な自粛ムードは、かえって景気回復の足かせとなる」との意見も多く聞かれます。
また、ここ数日のヒアリングでは、「夜の飲食需要も戻りつつある」との情報も、ある飲食大手チェーンの方からいただきました。
今後の展望(店舗仲介の観点から)
関東に主力を置く企業様は、「当面は新規出店をストップし、既存店舗の建て直しに注力する」方針を表明されています。
一方で、関西以西を拠点とする企業様の中には、「関東出店」を積極的に進める姿勢を示している企業様もいらっしゃいます。
まだまだ楽観的な見通しはできる状況ではありませんが、少なくとも日本の中心である東京の都心部からは、経済活動の光を徐々に大きくしていかなければなりません。
店舗仲介の役割としても、弊社は微力ながら経済活動の拡大に貢献できるよう、努力してまいります。
株式会社ビルズ 代表取締役 井上 良介